過去ログ - 妹の手を握るまで
1- 20
920:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/23(月) 22:39:31.65 ID:cC0z6VNso
翌朝目が覚めるとあたしは一瞬自分がどこにいるのかわからなかった。早朝の柔らかい光が窓から差し込んでいたけど、その光はいつもと違う角度から部屋を照らしていてあたしはそのことに違和
感を覚えた。次の瞬間すぐ横にお兄ちゃんの顔が半ばあたしの髪に埋まっており、お兄ちゃんの腕があたしの背中に左右から回されていることに気がついた。

あたしは昨日泣き笑いしながら黙ってお兄ちゃんと抱き合っていたのだけれど、どうもそのまま会話もなく寝入ってしまったらしい。できることならそのままずっとお兄ちゃんの腕の中にいたかっ
た。でも今日は日曜日だけど学園祭の準備のため登校しなければならなかった。

あたしはなるべく静かにお兄ちゃんの腕の中から抜け出し、お兄ちゃんのベッドから降りた。
一瞬お兄ちゃんが身動きしたので起こしちゃったかなと心配になったけど、お兄ちゃんは目を覚まさず再び寝息を立て始めた。

あたしはドアのそばに立ったままその場を去りがたく感じていた。お兄ちゃんのぼさぼさの髪や寝相の悪い寝姿や今まで抱きしめていたあたしを失って中途半端に伸ばしているお兄ちゃんの両手。

あたしはこのままお兄ちゃんをじっと見詰めていたかった。
昨日外出するために着替えた服がしわくちゃになっている。
これから身支度をして登校しても集合時間に間に合うにはぎりぎりの時間しか残されていなかった。

もう一度だけ寝ているお兄ちゃんを名残惜しく見つめてからあたしは部屋の外に出た。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/743.85 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice