948:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/25(水) 22:41:47.96 ID:WrmlNkbKo
「・・・・・・昨日はごめんなさい」
「え?」
「今週はお母さんたち家にいないから」
あたしは全部正直に言おうと思った。
お兄ちゃんは黙って聞いていた。
「でも昨日は、彼に誘われて断われなくて」
「何言ってるのかわかんねえよ」
お兄ちゃんが口を挟んだのであたしは最初から説明しなおした。あたしは感情や思いを人に伝えるのが少し苦手なのかもしれない。
「お兄ちゃんのメモ見た。大学からまっすぐ帰ってくれたんでしょ」
「ま、まあな。大学からまっすぐ家に帰るっておまえと約束してたし」
お兄ちゃんはあっさりと言ったけど、友だちの誘いを断ってわがままなあたしとの約束を守ろうとしたお兄ちゃんの気持ちがあたしには嬉しかった。
「あたしがお兄ちゃんにお願いしたのに」
「あのなあ」
「あたしが約束破っちゃった」
「兄貴より彼氏を優先するなんて普通のことだろ? 謝ることじゃねえよ。それに俺もその後飲みに行っちゃったしな」
「・・・・・・今週は夜は会えないって彼に言ったの」
あたしは淡々とありのままの話を続けた。お兄ちゃんは黙って聞いていた。まだ苦しそうな顔をしていたけど、それでもあたしの話をまじめに聞いていてくれた。
「お母さんたちいないし。お兄ちゃんも大学から家に帰ってくるし、食事とか準備しなきゃいけないからって」
「でも、昨日は仲直りした最初の夜だから付き合えよって」
「俺より兄貴を優先するのかって言われて」
「ごめんね」
あたしは話を締めくくった。
「何で謝る。おまえ、彼氏より俺のほうを優先してるわけじゃねえだろ? そんなことそいつに言われる筋合いねえよな」
お兄ちゃんにはまだわかっていないようだった。
「・・・・・・ううん。そうでもない」
あたしは正直に答えた。あたしは実際に先輩よりお兄ちゃんと過ごす方を選んだのだ。あの時あたしは先輩の言うとおりお兄ちゃんのほうを優先したのだった。
「お兄ちゃん」
「うん?」
「もう横になって。お昼ごろまた起こしてあげるから」
「・・・・・・学校は?」
お兄ちゃんはまた繰り返した。
「もう休むって連絡した」
お兄ちゃんは再び黙ってしまった。
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