949:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/25(水) 22:42:49.62 ID:WrmlNkbKo
あたしが部屋に戻って休んだ方がいいよと繰り返すとお兄ちゃんもその気になったようで、自分の部屋に向かった。
あたしはお兄ちゃんの背中を眺めながらお兄ちゃんについて行った。
「・・・・・・何でおまえも俺の部屋について来てるの」
「お兄ちゃんは寝ていいよ」
「だからどうして」
「テレビ見ていい? ボリューム下げておくから」
あたしは今日はお兄ちゃんのそばから離れるつもりはなかった。たとえまた身体を触られるようなことになったとしても。
「・・・・・・いいけどよ」
お兄ちゃんはようやくそう言ってくれた。それからお兄ちゃんはベッドに横になった。
あたしは床に座り込んでテーブルの上のリモコンを手に取った。
スイッチを入れると何か懐かしい番組が映し出された。
そっれはピンクの恐竜が登校している場面だった。
「学校休んだ日って、何かNHK教育テレビを見ちゃうんだけど、何でかな」
「ああ〜。わかるわかる。がんこちゃんとかノッポさんとか、さぼった日は必ず見ちゃうよな」
「何でだろ?」
「民放が主婦向けの番組しかやってねえからだろ」
「うん」
やっぱりお兄ちゃんとこういう何気ない会話ができるのは幸せだった。気分の悪いお兄ちゃんのことは心配だったけど、それでも学校を休んでお兄ちゃんの隣にいて世間話をする。ただそれだけのことが本当に何にも変えがたい貴重な時間のように思われた。
「お兄ちゃん、寝ないの?」
しばらくしてあたしは心配になった。あたしの会話の相手をしてくれるのは嬉しいけど、早く寝た方が治りも早いに違いない。
「何か体も心も楽になってきたな」
お兄ちゃんがぼそっと言った。
「お昼食べられそう?」
「今は無理。その時になんねえとわからない」
「うん」
再び会話が途切れた。
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