過去ログ - 土御門「忘れたかにゃー、インデックス。オレって実は天邪鬼なんだぜい」
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◆sk/InHcLP.
[saga sage]
2012/01/21(土) 20:07:42.58 ID:yEPWimwz0
「……………チッ」
上手く口から言葉が出てこない。この気持ちを、上手く表すことが出来ない。ただ、苛立ちのみが零れる。
この結果に関して、自分に全く非が無いとは思わない。自分がもっと連絡を密にしておけば、こんな事態にはならなかったはずだ。
なのに、土御門は自身の嫌悪感だけで対応を怠ってしまった。いや、実際のところ他人からすれば十分すぎる対応なのだろう。
だが、目の前の事実は変わらない。結局、自分たちの対応が至らなかったにすぎない。今なお最悪な対応を続ける同僚はなおさらだ。
「いい加減出てこい魔術師。いるのは分かってるんだぜ」
少女の傍にしゃがみこんで傷口を確かめながら、自分の後ろにいるであろう人物に声をかける。エレベーターから降りた瞬間に気がついた。
科学の世界・学園都市に紛れ込んだ違和感。一般の世界からも離れすぎた異端。そして、かつての自分がいた領域と同じくするモノの正体。
魔術師ステイル=マグヌスが、黒い修道服に纏わる闇を煙草の火で振り払うように、ゆっくりと確実に歩み寄ってくる。
「どうも。こうして話すのはいつぶりだったかな? まぁそんなことはどうでもいいか」
「そうだなこの役立たず。神裂火織に『歩く教会』が消失したことを説明していなかったな」
「心外だな。現に、僕らはこうしてソレの足を止めただろう?」
全く反省してない振る舞いを見せる魔術師。自分は仕事をきっちりこなしたのだ、ケチをつけるな……と言ってると思って欲しいらしい。
実際、土御門からすればこの男はまだまだ甘すぎる。他の仕事ならば、殺人でさえ冷徹に行える人物なのだが、今回ばかりは特例だ。
しかし男としては、彼ともう一人の神裂以外には担当されたくない。なぜならば、インデックスは元々彼らの親友だったのだから。
だから、他の人間には任せない。インデックスを何とも思わない連中に任せるくらいなら、いっそ自分たちで彼女を…とのこと。
何ともまぁ、殊勝な心掛けである。そんな事情があるので、彼から発せられる言葉は、土御門へでなく自分への戒めのように聞こえる。
「……。ふん。馬鹿が」
「確かにそうだね。わざわざ危険を冒してまで戻ってくるとはね。血の跡が無いから安心安心とは思ったんだけどね」
一度煙草を右手で口から取り出すと、紫煙を吐き出す。その赤色の髪をした少年は、昇っていく煙を眺めながら少しだけ切ない顔を覗かせた。
イライラする。改めて、こいつらを見ていると感情が高ぶっていくのが分かった。言葉ではない、その態度が土御門としては頭にくるのだ。
こいつらは、精一杯努力したつもりでいやがる。こいつらは、自分たちのエゴを少女に押し付けることでしか自己を保てないのである。
所詮、そんなものは自慰行為。奴らは勝手に絶望して勝手に諦めているだけなのだ。一番苦しいのはインデックスであるはずなのに。
一年おきの『禁書目録』の定期点検のために、教会に騙されて記憶を全て消されてしまう彼女は、後にはその屈辱さえ忘れてしまうのだ。
だから、土御門元春という人間は、本当はこう言ってやりたかった。
(本当に苦しいヤツを差し置いて、テメェだけ被害者面すんじゃねえ)
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