過去ログ - 土御門「忘れたかにゃー、インデックス。オレって実は天邪鬼なんだぜい」
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114: ◆sk/InHcLP.[saga sage]
2012/01/21(土) 20:09:54.25 ID:yEPWimwz0

(……。自動書記か)


振り返ると、後ろで血まみれになって倒れていたはずの女の子が起き上がろうとしていた。というより、立ち上がろうとした状態で止まっていた。
その目には、光が宿っていない。彼女の天真爛漫な性質を全て打ち消しているような瞳だ。一切の感情が排除された冷血な目…の方がまだ良かった。
彼女の冷たすぎる瞳に現れたモノは、疑いであり戸惑いであり、そしてほんの少しの悲しみだった。視線が土御門の心に突き刺さってくる。


「先ほどの発言の分析を開始……完了。現状、一〇万三〇〇〇冊の『書庫』を狙う魔術師は二名いることを確認」


だが、それがどうした。土御門はあの魔術師の仲間である。これは厳然たる事実だ。この子にバレたところで気にする必要もない。
何せ、今の彼女の記憶はいつもの彼女は覚えることが出来ないのだから。それに、そのような些事など気にしている場合でもない。


「チッ。厄介なことになってきた。だが、その血ではどうもできまい。さて、ソレをこちらに渡してもらおうか」

「随分偉そうな物言いだな。『回収』に来たのだろう? だったらここまで回収しに来い」

「…偉そうな物言いはそちらだろう。もう満足に魔術も使えない身なのに」


ため息をつきながらもしっかりと回収に向かうのは優秀な魔術師である証か。魔術師は一歩ずつ確実に、まだ座っている状態の少女に近づいて来る。
これで、チェックメイト。もうインデックスは傷で動けないし、『歩く教会』も既に無い。イギリス清教のスパイとしての任務もここまでだ。
このままいけば、魔術師ステイル=マグヌスの任務は無事完遂される。彼女をどんな形であれ回収して、再びあの儀式を行うのが彼の仕事なのだ。
だから、ここからは。


「よし。これで――――っ!?」


ステイル=マグヌスが体を大きく前に曲げ、そのまま先ほどまで立っていた位置まで後退する。あと少しで少女を回収できたというのに、だ。
無理もない。彼はつい先ほど、仲間であるはずの土御門元春から攻撃されたのだから。金髪グラサン男が放った右の上段回し蹴りが空を切った。
少しよろけた魔術師は憤怒の形相で、まだ立ち上がれない禁書目録は混乱した表情で、土御門元春の不敵な笑みを見つめてきた。


(ここからは、イギリス清教のスパイとしてでなく、土御門元春として動かさせてもらうぞ)


少年は、決意を新たに動き出す。ギリギリの綱渡りの途中で、あえて自分から綱を飛び降りて。




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