過去ログ - 土御門「忘れたかにゃー、インデックス。オレって実は天邪鬼なんだぜい」
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123: ◆sk/InHcLP.[saga sage]
2012/01/26(木) 23:23:42.15 ID:xQwpJrUv0


「……ふぅ。一体どういうつもりだい?」


魔術師の声は、落ち着きを払っているようで、その内側に怒りを内包していた。流石の彼も、土御門の行動の真意が掴めなかったのだろう。
当然だ。彼が自分で言った通り、そもそも土御門元春はステイル=マグヌスと同じイギリス清教の仲間であるはずなのだから。
だがどう考えてみても、先ほどの行動は土御門の意思をそのままに表現しているようにしか思えなかった。そう、つまりは、


「裏切り、かい?」

「どう取ってもらっても構わないぜい」


一層激しく睨み付けてくる赤髪の魔術師に対して、しかし金髪の無能力者は全く怖気づかない。彼もまた、幾度となく視線を潜り抜けてきた猛者だ。
だから、土御門元春としては問題は皆無である。戦えるだけの力がほとんど無いとしても、その意志と覚悟ならばステイル以上である自負がある。
しかし、そんなことなど知るはずもないインデックスは、出血で思考力が段々と鈍くなりながらも目の前の現実について熟考し始める。


「思考を再構築……失敗。少年の言動を理解できず。敵は依然として二人であることに変化なし。さらなる分析が必要と判断します」

「ハハッ。理解できないだろうにゃー。オレが魔術サイドからのスパイだってのは紛れもない事実なんだし」

「今の発言を分析……失敗。現状、この少年を『UNKNOWN』と定めます」

「よく分からないときたか。…まっ、それが土御門さんの正体かもにゃー」


振り返りながらケラケラと笑う土御門を見て、インデックスはさらに混乱した。既に覚醒を果たし、感情の無いただの機械と化しているはずなのに。
先ほどから自身の思考を超越した行動をとる少年に、禁書目録は戸惑いを感じる。まるで、彼が見えない何かに突き動かされているような印象を受ける。
任務、同じ組織、魔術師、回収、そして裏切り……。2人の魔術師と思しき人物から出てきたキーワードを、この金髪の男に合致させて考えてみる。
すると、結論はあまりに単純で、理由はあまりに難解な答えにたどり着く。つまり、


「……私の、ため?」


そうとしか考えられなかった。現時点で、この土御門と名乗る少年があの長身の魔術師を攻撃するメリット。彼女にはそれしか心当たりが無かった。
だが、実際はデメリットの方が大きい。仮にインデックスを守るというのであれば、まずはあの黒ずくめの魔術師を撃退しなければならないのだ。
何故?、という疑問が湧いてくる。この少年とは、今朝ベランダで出会い、朝食を食べさせてもらい、その後すぐに別れた。ただ、そういう関係。
言ってしまえば、ただそれだけの仲だった。感謝するのはあくまでインデックスの方であって、別に少年の方はここまでする義理は無いはずなのだ。
分からない。どうして目の前の少年がここまでしてくれるのかが。どうして味方を裏切ってまであの魔術師の前に立ち塞がるのかが。



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