過去ログ - 土御門「忘れたかにゃー、インデックス。オレって実は天邪鬼なんだぜい」
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159: ◆sk/InHcLP.[saga sage]
2012/02/22(水) 00:40:38.36 ID:FR3rivc20

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「君っっ!!」


インデックスは完治した身体を引き摺って少年の元へ向かう。声をかけても微動だにしない少年を見ると、もう手遅れかとも思った。
躊躇うことなく血の海へとしゃがみこんだ少女は、視診と触診で彼の生命活動の有無を確認する。まだどうにか生き長らえているらしい。
それでも息は浅く回数もまばらだったし、傷は額と脇腹からドクドクと流れていて危険な状態だ。呼吸器も無事とは思えない。
ともかく、このままでは少年は絶命するのは確かだ。何とかして、彼の傷口を塞がなければ。それこそ、さっきの自分のように。


「…でもこの街のことは分からないし、連絡手段だって無いんだよ」


そう、そこが一番のネックだった。病院に連れて行くにも場所が分からないし、まず身元不明の自分がどう扱われるか分からない。
連絡するにしても、手段が無くては意味が無いし、どこにどう連絡すれば彼が助かるのかも分からない。まさに八方塞がりだった。
インデックスは無力な自分を恨みながら、只々血を流して震える少年の前で嘆くしかなかった。


「………。方法が、無い訳じゃないのに」


少女の口から悔しさが零れる。実際、彼女の言う通り、方法が無い訳ではないのだ。しかし、だからこそ自分の無力さが嘆かれる。
その方法とは、やはり魔術のことだ。回復魔術。先ほど少年が自分に施したモノも含め、彼女はあらゆる回復魔術を知っている。
ならそれ使えよ、と言われそうなものだが、今朝少年に向かって言った通り、彼女は魔力を練れないので魔術を使うことが出来ない。
それに、今朝聞いたことが本当だとすれば、例えばこの街の住人に頼んで回復魔術を使ってもらうという選択肢も無いと言える。
なぜなら、超能力者に魔術は使えないから。そのことは、皮肉にも目の前で倒れている少年がその身を犠牲にして証明していた。

自分のために。自分のせいで。本来自分に関わることも無いはずの人間が、自分に関わったことで血まみれになり、死にかけている。
その現実が、インデックスの心に突き刺さる。同時に、彼女は己の無力さを呪った。何が禁書目録だ。回復魔術の一つも扱えない無能が。
世界の全てを例外なくなくねじ曲げることができる力を持っているくせに。



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