過去ログ - 土御門「忘れたかにゃー、インデックス。オレって実は天邪鬼なんだぜい」
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34: ◆sk/InHcLP.[saga sage]
2011/12/11(日) 23:32:10.49 ID:wIRRSrYy0

とはいえ、このままこの少女のことを放っておく訳にもいかない。降りかかってきた現実を恨みつつも、土御門は目の前の少女に一つの提案する。


「…はぁ。仕方ない。とりあえず朝食だけは恵んであげようではないか」

「やったんだよ!」

「さて、どうしようか?」

「えっ、君が作ってくれるんじゃないの?」

「えっ、このオレが料理出来るとでも思ってんですたい?」

「確かにそうは見えないけど……じゃあどうするのかな?」

「それを今考えている訳だぜい」


そう、目先の問題は食糧の確保だ。そもそも空腹少女が転がり込んでくる前はコンビニで買い食いして済まそうと考えていたのだが、そういう訳にもいかない。
なぜなら、彼女は魔術師に追われているのだから。土御門がインデックスの説明無しに事情を把握しているということは今さら言及するまでも無いだろう。
現在の状況で彼女を外に出すというのは非常に不味いし、かといってこのままだと少女の方が空腹のあまり餓死してしまうに違いない。
さて、本当にどうしたものか。


(…つーか、捕まえる側のオレがこんなことを考えているってのも滑稽な話だよな)


思いがけず苦笑が漏れてしまう。一体自分は何を考えてしまっているのだろう、と。
その土御門の表情を見つけたインデックスは、頬を一杯に膨らませて怒りを露わにしていた。笑ってないでさっさと飯を出せ、とでも言いたいのだろう。
だが、そんな感情表現豊かな彼女の心は、残酷にも少女にとっての最高の親友たちによって消されていった。このまま行けば今回もいずれそうなる。


それでも、土御門元春のやることは変わらない。


「うにゃー。それじゃあカミやんに集るとするか」

「かみやん?」

「ああ。オレの友達で、隣りの部屋に住んでいて、何より料理が出来る」

「ほ、本当なのかな!? だったら初めからそっちに落ちていれば良かったんだよ!」

「テメェ、それが焼きそばパンを恵んでくれた恩人の前で言うセリフか…?」

「さぁ、善は急げかも!」

「あっ、待てコラっ!!」


しかし、空腹も限界まで達したインデックスが土御門の制止を聞くはずもない。彼女は怒涛の勢いで玄関へと駆け出していく。
このようにして堂々と無視された土御門ではあったが、彼の表情に現れたのは怒りではなくて微笑みだった。
あの少女は、残酷すぎる運命にありながらも人を喜ばせることが出来る。抗おうとせずに宿命を受け入れつつも、それでも人に笑顔を与えてくれる。
そんな事実が、また不思議と土御門をも笑顔にしてしまう。一時的にでも、幸せな気分にしてしまう。

……自分は、どうだろうか。自分は愛する人に少しでも笑顔を分けてあげられたのだろうか。オレは――――



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