過去ログ - 土御門「忘れたかにゃー、インデックス。オレって実は天邪鬼なんだぜい」
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◆sk/InHcLP.
[saga sage]
2011/12/11(日) 23:42:13.59 ID:wIRRSrYy0
そんな人類史上類を見ないであろう三段飛ばしを繰り広げていれば、あっという間に同僚のところに着いてしまうというのは明らかだろう。
神裂は(主にステイル=マグヌスの)安全のために徐々に速度を緩めていき、飛ばすビルの数を一つ、二つと減らしていき、最後にはただのビル飛びに戻った。
こうして、おそらくしっかりと仕事をしているであろうステイルのところへ到着したのだが……
「…あのステイル、どうかしましたか?」
ステイルが息をしていない、と始めは思ってしまった。それほどまでに今の彼からは生気が感じられなかった。
双眼鏡から離した目は虚ろだし、口元は変に緩んでいるし、頬は痙攣しているようでピクピクと動いている。おかげで彼が愛用している煙草が下の貯水タンクに落ちているほどだ。
…そういえば先ほど目視したときから何故か彼は硬直していたし、そもそもベランダを監視しているはずの彼が反対側であるこの屋上の貯水タンクにいるのも不思議な話だ。
疑問が絶えない神裂は、落ちていた煙草の火を足を擦り付けて消すと、頭に浮かんだ質問をステイルにぶつけることにする。
「えっとステイル。『彼女』はどうしました?」
「………」
「いえあの、口を開いてくれないと何も分からないのですが」
「……ふっ」
「ふ?」
「ふふふふ、うひゃはははははははーっ!! はっはっはぁー!!!」
「す、ステイル!?」
ステイルが狂ってしまった。そうとしか思えなかった。だって、笑い方が明らかに変だもの。
しばらく狂人めいた笑いを披露したステイル=マグヌス魔術師は、虚ろな表情のままふと呟いた。
「……ぐふふ。殺す」
「は?」
「あんのツンツン頭の変態野郎、絶対に殺してやる。死んでも殺してやる。もしも奴が地獄に堕ちたとしても、何遍でもぶっ殺してやる!! うふふっ♪」
「何を言ってるんですかステイル!? ちょ、ちょっと一旦冷静になってください! っていうか笑い方気持ち悪っ!?」
「HAHAHA何を言ってるんだい神裂。僕は至って冷静さ。冷静にあのクソ野郎を殺す算段を考えているんだよ!」
「絶対口調がおかしいですし目が完全にイッちゃってますけど!? つーか何で鼻血なんか流してやがるんですか!」
「天使だ……。本物の天使が、この世に降臨したのさ。…グハッ」
「ちょ、ちょっとステイル? ステイル=マグヌスぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーっ!!」
監視任務に就いているはずの神裂火織は、思わず自分の仕事を忘れて魂の雄叫びを朝の学園都市に配信してしまうことになる。
そんな叫び声にも拘らず彼女の腕の中で意識を失っている魔術師は、なぜだか知らないがとても穏やかな表情をしているのだった。
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