219: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/21(水) 20:15:28.53 ID:KyaUPy36o
播磨は思う。まるで自分の身体が自分のものではなくなっているような感覚。
「まどか!」
人の気配を感じた播磨は、思わず叫んでしまう。
(どこだ――)
播磨は周囲を見回したその時、
彼の視界に、一つの人影が入ってくる。
「……!」
巴マミだ。
じっと立っているマミは、虚ろな目で宙を見つめている。
「巴!」
播磨は彼女に駆け寄った。
「巴、何が起こった。おい!」
播磨は、大きい声で彼女に呼びかける。
しかし、答えはない。
「巴、おい」
次の瞬間、巴マミは膝から崩れるようにして、播磨の方へと倒れこんできた。
「巴?」
播磨の両手に、マミの柔らかな感触が伝わってくる。
けれども“それ”は、以前抱いた時のものとはまったく別物であった。
言うなれば、等身大の人形を抱いている感覚。
「おい……」
播磨はそっと、マミの首元に手を当て、そして口元に耳を近付ける。
「何も……、聞こえない?」
それは、人の形をした“入れ物”であった。
つづく
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