278:年末スペシャル ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/24(土) 18:22:21.40 ID:UqEfXJhDo
「確かに台本はもらいましたけど……」
千早たちの鞄の中には、今日使う台本が入っている。
「だったら、しっかり読んで覚えておいて。バラエティ番組は、彼にとってはむしろ
お芝居よりも大変なのよ」
「どうしてですか?」
「だって、バラエティは自然に動かなければだめでしょう? 演技だけど、演技っぽくなく、
仕組まれていてもそれをアドリブっぽく対応しなければならない。根が真面目な彼には、
かなり難しいの」
「でも、江頭さんはバラエティやお笑い番組にしか出ませんよね」
「そうよ。だってあの人は、人を笑わせることが何よりも好きな人だから」
そう言って、マネージャーは片目をつぶって見せる。
「そういえば、江頭さんは早めに来てるようですけど、いつ来たんですか?」
「うーん、今から三時間前くらいかな」
「三時間!?」
「ええ、普通よ」
「それって、本番六時間前にはすでに現場入りしてるってことですよね」
「そうね。彼は小心者だから」
「小心?」
「うん。台本や設備のチェックはもちろん、スタッフへの挨拶とか打ち合わせとか、
何か笑いに使えるものがないか探したり、とにかく入念に準備しなければ気が済まないタイプ」
「すごい……」
そんな話を聞いて、千早の江頭を見る目が少しずつ変わっていくのだった。
*
702Res/519.76 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。