364: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/26(月) 20:53:12.45 ID:o0KlkSZjo
☆
まどかの部屋は静かだった。
わずかに、時計の音が耳に響く。
泣き続けるまどかを、播磨は何も言わず抱き続ける。
まどかの持つ熱いくらいの生命を、彼は身体全体で受け止めていた。
そえからどれくらい経っただろうか。数十分くらいかもしれないし、数秒かもしれない。
まどかの甘い香りに最初のうちは心拍数が上がりっぱなしだった播磨も、
少しずつ落ち着いてきた。
するとまどかのほうも落ち着いてきたらしく、そっと播磨から身体を話す。
熱い身体が離れて、ほんの少しだけ彼は寒く感じる。ちょうど、
冬の日にコタツから出たときのようなほんの少しの寒気だ。
「落ち着いたか」
「……うん」
ズズッと、まどかは鼻をすする。
播磨は目を逸らし、それを見ないようにした。
これ以上恥ずかしいところを見ないようにしてあげようという、彼なりの気遣いだった。
「ごめんね、顔、洗ってくる」
そう言うと、まどかは立ち上がり部屋を出て行く。
播磨は彼女の部屋に一人残される。
何もすることがないので、ふと窓の外を見ると、何かが通りすぎた。
(猫、ではないな……)
白い、大きなシッポが通り過ぎるのを確実に見えた。
少し前に見た謎の生物だ。播磨は、心の中でそう確信する。
最近、あまり見ることはなかったけれど、彼の記憶にはしっかりとその姿は残っていた。
702Res/519.76 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。