過去ログ - 魔法少女とハリマ☆ハリオ
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408: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/30(金) 18:17:29.63 ID:1r0Rv1RGo

 起き上がってみると、右手に血が滲んでいた。

「は、播磨さん! 大丈夫ですか」

 そう言いながらさやかが駆け寄ってくる。

 そこではじめて彼は、さやかによって投げ飛ばされたのだということがわかった。

 しかし、女子中学生に投げられる。それも、柔道や合気道などの技ではなく、腕の力だけで。

「大変、血が!」

 さやかは、播磨の血を見て焦っているようだ。

「こんなの、大したことじゃねェ。唾付けときゃ治る」

 喧嘩に明け暮れていたころは、流血沙汰など日常茶飯事だったため、出血には慣れている。

「ごめんなさい、私のせいで」

 そういうと、さやかは両手で播磨の右手を握る。

「おい、何を」

「じっとしてて」

 そう言うとさやかは精神を集中する。すると同時に、彼女の両手から青白い光があふれてきた。

(どんな手品だ)

 彼は一瞬そう思う。だがそれは手品などではなかった。

「終わり」

 さやかがそう言うと同時に光が消え、そして彼女は手を放す。

「な?」

 見ると、播磨の右手から滲んでいた血は、きれいになくなっており、傷痕すら見えなくなっていた。

「この程度のけがなら」

 さやかは立ち上がりながら言った。

「美樹……」

 播磨を投げ飛ばすほどの力。そして奇妙な青い光と、それに伴う治癒。

 間違いなく、それは常識では考えられない現象であった。

「ごめんなさい。もう、後戻りはできないから」

 そう言うと、さやかはその場から走り去る。

「おい! 待てよ」

 播磨は彼女を追いかけようと走り出す。

 短距離走なら多少の自信はあった彼だったが、さやかの姿はすぐに、闇の中へ溶けていった。



   つづく




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