419: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/30(金) 18:27:05.93 ID:1r0Rv1RGo
そう思いつつ、彼は携帯電話を取り出し、電話をかけた。
右耳から呼び出し音が鳴り、二回鳴ったところで低い声が耳に入ってくる。
『はい』
「霧島さんですか。播磨っす」
播磨がかけたのは、見滝原署に勤務する霧島刑事の携帯電話であった。
『なんだキミか。どうした』
遅い時間にも関わらず霧島の声は落ち着いていた。家でのんびりしていた、
という声ではない。おそらく警察署内で電話を受けているのだろう。
「実は調べてほしいことがあるんです。失礼なのは承知で」
『事件に関係のあることかい?』
「はい。警察の方でないと難しいかもしれないっすから。決して無理にとは言いませんが」
『それで、調べてほしいものとは』
「実は、佐倉杏子という少女についてです。年は十四歳くらい」
『もう一度頼む』
「サクラ、キョウコ。この街に住んでいたことがある人間だと聞きました」
『字はわかるか』
播磨は、先ほど杏子が自己紹介したときと同じように、彼女の漢字を霧島に伝えた。
『わかった。一応調べてみよう』
「ありがとうございます」
播磨は電話を切り、空を眺めた。
「もっと色々聞いときゃよかった……」
厚い雲に覆われた暗い夜空からは、いまだに光が見えない。
つづく
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