424: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/30(金) 18:34:44.92 ID:1r0Rv1RGo
相手の信頼を得るためにはどうすればいいのか。
それは播磨にとっては難しいテーマだ。
考えるよりも先に体が動き、話し合うよりも先に拳が飛び交う生活をしていた彼にとって、
そういう心と心が生で向かい合うような状況は苦手である。
だが、今回はそうもいかない。
まさか女子中学生と殴り合いをするわけにもいかないからだ。
というわけで、彼は一人の大人に相談してみることにした。
この街にいる数少ない知り合いであり、人との付き合いに優れているであろうと思われる人物。
「はあい、拳児くん」
「ども」
赤い顔をした詢子がカウンター席で手招きする。
仕事帰りのようで、スーツ姿だ。
家で見る彼女とはまた違う雰囲気を持っている。
駅近くの寿司屋。
播磨一人ではまず入ることはないであろうその店が、詢子の指定した店であった。
「ここは私の行きつけなのよ。ねえ、大将」
グラスにビールを注ぎながら詢子は言った。
「へい、詢子さんいはいつも世話になってます」
ややアゴのでかいその寿司屋の店主はそう言ってさわやかな笑顔を見せる。
「はやく座って」
「はい」
播磨が座ると、店の店主は素早くあがり(お茶のこと)と温かいおしぼりを出してくれた。
「どうぞ、兄さん」
「恐れ入ります」
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