437: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/31(土) 16:39:17.79 ID:f3g4B3n7o
「本当に行くの?」
不安そうな顔で和子が聞いてくる。
「ああ、もうきめた。俺もついていく」
「でもなんで拳児くんが。バレたら私クビになっちゃうかも」
珍しくスーツを着込んだ和子は、口紅をつけたりしながら弱音を吐いた。
「そん時ゃ、詢子さんい雇ってもらいやいいだろうが」
「んもう、他人事だと思って」
「おい、いつまで洗面所使ってんだよ。早く使わせろ」
「まったく、女の子は準備が色々大変なのよ」
「何が“女の子”だ……」
「なんか言った?」
「イエ、ナンデモアリマセンヨ」
播磨は棒読みでごまかす。
「そう、洗面所空いたわよ」
「おう」
播磨はここしばらく伸ばしていた髭をすっぱりと剃り落し、トレードマークのサングラスと
カチューシャも外し、服装も普段の学ランではなくスーツ姿になっていた。
ちなみにスーツは鹿目まどかの父、和久から借りたものだ。
裏地には、「K.Kaname」というネームが入っている。
これを借りるとき詢子は「拳児くんだったら、そのまま使えるじゃない」と言って笑っていた
けれども、播磨にはなぜ詢子が笑っているのか、その時は意味がわからなかった。
「あら、拳児くん。似合ってるよ。そっちのほうがいい男なのに」
洗面所の鏡に、和子の顔が写っているのが見えた。
「うるせえ。行くぞ和子」
「待ってよ拳児くん。女の子は準備が色々」
「ああ、もういいから、早く」
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