537: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2012/01/07(土) 16:17:09.25 ID:TtSXhkSbo
避難所となっている街の体育館にはすでに多くの人たちが避難していた。
自衛隊の災害派遣もすでに行われており、ずいぶんと騒がしい。
大人たちは一様に不安な表情をしているけれど、子供たちは騒がしかった。
「まどか、大丈夫かい?」
不意に、母親の詢子が声をかける。
「うん、大丈夫だよ」
まどかは無理にでも笑顔を見せる。
彼女には嫌な予感がしていた。
(この感じ、多分“魔女”)
かつて、自分が遭遇したことのある魔女と同じ気配を彼女はひしひしと感じていた。
しかも今回のは、結界の中に隠れて獲物を待つようなタイプではない。
堂々と外に出て、獲物を捕食するようだ。
「パパ、ママ、私ちょっとお手洗いに言ってくるね」
まどかはそう言って家族のそばを離れる。
窓から外を見ると、雨粒が激しく窓ガラスにぶつかっている。
「どうしよう……」
まどかが、階段で立ち止まっていると、不意に懐かしい声が聞こえてきた。
《これは相当大きい魔女だね。まどか》
「?」
いつの間にか、階段の手すりの上に白い生物、キュウベェが座っていた。
《今までにないほど巨大な魔女だよ。まどか》
キュゥベェは相変わらずの無表情で淡々と話す。
「どうすればいいの?」
《キミも知ってのとおり、この街にはもう魔法少女はいない。だから、この街はあの魔女に
蹂躙されるのを待つだけだ》
「……」
《でも、希望がないわけじゃない。鹿目まどか。キミなら、運命を変えられるかもしれない》
*
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