553: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2012/01/08(日) 20:02:19.44 ID:rjWT9VOTo
遠くで、決壊した堤防を治す工事をしている。
そんな川を眺めながら、少女は一人、河川敷に設置してあるベンチに座り込んでいた。
ほんの数週間前に暴れまわったとは思えないほど、その川は穏やかな流れを紡いでいた。
「はあ……」
髪の短いその少女は一つ、大きなため息をつく。
「そんなため息ついたら、幸せが逃げるよ。さやか」
ふと、大人の女性が彼女の隣に座った。
「母さん……?」
さやか、と呼ばれた少女は驚いたような顔をする。
「何しに来たのさ」
そして、ぶっきらぼうに対応する。
「母親が娘と話すのに、理由なんているの?」
「今更母親面なんてしないでよ。今日は仕事じゃないの?」
「今日は日曜日よ。仕事はお休み」
「そう」
さやかは、顔をそらしたまま返事をした
「ねえ、さやか」
「何よ」
「私、母親失格だね」
「何を今更」
702Res/519.76 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。