561: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2012/01/08(日) 20:07:45.03 ID:rjWT9VOTo
「え?」
二人の顔を見ると、唇のあたりを押さえて顔をそらす。
(まさか……)
「拳児くん……?」
隣にいるまどかが、やや暗い顔で播磨を睨む。
「ふふ。冗談よ。彼女たちは私の“チカラ”でここに残しているの。それよりハリオ」
「おう」
「今日はどういうご用かしら?」
「ご用っつうか。まあ礼を言いに来た。色々と世話になったし」
「あら、随分遅いんじゃない?」
「仕方ねえだろう。街が浸水して、後片付けとか忙しかったんだし」
「それもそうね。でも、こうやってもう一度来ただけ偉いわ」
「まあ、最低限の仁義だと思う。ただ」
「何?」
「例のシステムを壊すのに、あの程度の対価で済んだのは、ちょっと不思議だと思ったんでよ」
「ふふ、そうね。あなた一人では確かに荷が重いわ。でもね」
「ん?」
「システムの消滅を願ったのは、あなた一人ではない、ということもあるわ。
だからそういうときは、皆で対価を分割するべきだと、思わない?」
「そりゃあ……」
「ハリオ。あなたがあの街で紡いだ絆が、大きな力になったってことよ」
「そうなんっすか」
播磨は、見滝原で出会った色々な人の顔を思い出す。
親しく付き合った者もいれば、そうでない者もいる。
彼らの存在も、播磨にとって支えとなったことは、事実だ。
*
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