687: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2012/01/20(金) 20:53:48.89 ID:W7oVHpI5o
客の帰った静かな屋敷の縁側で、この“ミセ”の主、壱原侑子は夏の太陽に照らされる
庭を眺めていた。
「何してんだ? 侑子」
雇われている身でありながら、およそ無遠慮な少女、佐倉杏子は侑子の隣にドカリと座る。
「別に、何もしてないわ」
「そうか」
「仕事は終わったの? 杏子」
「ああ、楽勝よ。ちょっと休憩」
「そう」
不意に乾いた風が流れる。
すると、軒下につるしてあった風鈴が静かに鳴った。
まぶしい日差しに合わせるように、どこからともなくセミの鳴き声が聞こえる。
「なあ、侑子」
「なあに」
「結局さ、ハリマってやつは何者なんだ?」
「何者って?」
「だってあいつ、魔女の力に干渉されないんだぜ?
あいつが近づいたら、結界も消えちまうんだ」
「そうねえ……」
侑子は空を仰いだ。
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