8: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/11(日) 19:28:50.98 ID:3NsOQz0Wo
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午後六時、約束の店に和子と二人で訪れた播磨は店の中に入る。
普段の彼には縁のなさそうな中華料理の店だ。
店員に話をすると、既に彼女の知り合いは到着しているようだった。
「ここだよ、和子」
心なしか、ドスの効いているような声が耳に入る。
「詢子」和子もその声に答える。
「あ、お久しぶりです」それに続いて男の声も聞こえた。
一人だけかと思ったら家族連れのようだ。
「ヒゲー!」
小さい子供が播磨に向けてそう言った。
「ちょっとたっくん」
子供を宥めるように言う少女。中学生くらいの少女なのだが――
「あ……」
「え?」
その赤いリボンには見覚えがあった。
「お前ェ、あの時の」
「ああ」
少し長めの髪を両側で縛った小柄な少女。
昼間に公園の近くで出会ったあの黒猫の少女だ。
「あの猫の」
「あ、あの時はお世話になりました」
「いや」
「あら、もう知り合いだったのかい?」
先ほど詢子と呼ばれた女性がニヤリと笑みを浮かべた。
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