過去ログ - 結衣「ちなつちゃんに笑ってほしい」
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68: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/12/28(水) 00:24:29.36 ID:KqNWs9d70
声にならない悲鳴。
いや、私は少し出てしまったかもしれない。何も声が出ずに、息を呑んだのはきっとちなつちゃんだ。
ちなつちゃんはぱっと私の腕を離すと、目の前のお化け役の人を蹴散らして一目散に逃げ出した。

結衣「ちょっ!?」

ちなつちゃんがお化け屋敷を一人で出られるはずなんてない。
それに暗闇で走ったら危険だ。頭の中、冷静にちなつちゃんを追いかける理由を並べ立てながらも、
私の身体はそれより先にちなつちゃんを追っていた。
あかりや京子がいないからかもしれないけど、いつもなら少し考える暇を作ってしまうのに。

ごめんなさい、とちなつちゃんに一蹴されてきょとんと座り込んだお化けの人に頭を下げ、
ちなつちゃんを追う。
けれど他のお客さんもいて、脅かしてくるお化けもいるからそう簡単には追いつけなかった。

ちなつちゃん、どうやって潜り抜けたんだろうと思うくらいのゾーン(たぶんこのお化け屋敷の山場だろう)を
くぐりぬけて、一息吐いたとき。
ふと顔を上げて、ぎょっとした。お化け屋敷のセットの隅に、震える背中。暗い中、一瞬驚いてしまったが
それでもすぐにちなつちゃんだと気付いた。

結衣「……やっと見つけた」

こんなに時間がかかるとは思わなかった。
外から見れば、そこまで大きいお化け屋敷には思えなかったのに。
私の声に気付いたちなつちゃんが、「ゆいせんぱい……?」とそっと私を振り返った。



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