48:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 03:05:57.66 ID:c4Axoe8J0
「ええ?あき、ずるい」
「でも、マミはまだ教えてくれてないじゃない」
「一番を教えてくれなきゃ、意味ない」
「うーん……」
あきは目を閉じ、しばらく考えてから、言った。
「……誰にも言わない?」
「言わない」
「約束してくれる?」
「約束するわ」
その言葉を聞くと、あきは立ち上がり、空を見上げた。
そして、マミが予想もしていなかったことを言った。
「私、魔法使いになりたいの」
「え……?」
一瞬、マミはあきが何を言ったのかよくわからなかった。
そして、しばらくの沈黙ののち、ようやく言葉がマミの頭の中で像を結んだ。
「魔法……って、あの、魔法?」
「やっぱり言わなきゃよかった」
あきはそういうと、本当に恥ずかしそうに顔を覆った。
「これ言うと、いつも笑われるんだ」
「笑ったりは、しないけれど……。それは、将来の夢と言えるのかしら?」
マミの言葉に、あきは覆っていた手の指の隙間から瞳を覗かせて、言った。
「言わないかな……?」
「ちょっと、違うような気がする」
「でも、私が一番なりたいものなの」
「どうして?」
そうマミが聞くと、あきは何を思ったのか、両手を頭の上で広げ、再び空を見上げた。
「ねえ、今日みたいに晴れた日の空って、本当に綺麗だよね」
「え……?ええ、そうね。本当にきれい」
言いながらマミも空を見た。
あきの言うとおり、そこにはとても美しく澄み渡った、青い空間が広がっていた。
「私はね、マミ、この世界の中で、空が一番好き。今までに見た一番きれいな海も、空の美しさにはかなわない」
少し舌っ足らずなその口振りからは、さっきまでの照れや恥ずかしさの色は消えていた。
「イタリアで暮らしたいと思うのも、今までに行った国の中で、イタリアの空が一番きれいだったからなの」
「そうだったの……」
「でも、こんな風に下から眺めるだけなんて嫌。私は、あの空を自由に飛び回ってみたいの。鳥みたいに、鳥よりももっと自由に」
「だから魔法使い、ってわけ?」
マミがそう問いかけると、あきはまた顔を赤らめてしまった。
「だって……。魔法でも使わないかぎり、人間は空なんて飛べないでしょ?」
拗ねるようなあきの言葉に、マミは思わず笑ってしまった。
116Res/135.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。