5:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 02:17:55.02 ID:c4Axoe8J0
雨の屋上には既に救急隊員が到着していた。生徒たちは傘もささずに、その様子を遠巻きに見守っている。
「これじゃあ私は近寄れないわ。キュウベえ」
「了解だよ」
言うが早いかキュウベえはチョロチョロと人混みの間をぬけ、倒れている男子生徒の傍らでしばらく様子を観察すると、すぐにまた戻ってきた。
「どうだった?」
「当たりだよ、マミ。『魔女のくちづけ』だ」
「やっぱり……」
「あの子はもう、とても助かりそうにないね。手首をバッサリだ」
「そう……なの」
マミの顔が僅かに曇る。
「どっちにしても、今のところこの辺りに魔女の気配はないみたいだ。落ち着いて対策を考えよう」
マミが戻ろうとすると、男子生徒を乗せた担架が階段の方に向かってきた。
(……?)
「どうしたんだい、マミ?」
「いえ、あの子……」
ちょうどすぐ傍らを運ばれていった男子生徒の顔に、マミは何かしら引っかかるものを感じた。
「マミの知り合いかい?」
「そういうわけじゃ、ないんだけれど」
(気のせいかしら。よく考えれば、同じ学年なんだから顔に見覚えがあっても当然だし。でも……)
見世物は終わったとばかりに、屋上の生徒は三々五々教室に戻っていく。雨足は少しずつ強くなって行くようだった。誰もいなくなった屋上で、マミはひとり、物思いに沈んでいた。
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