88:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 03:55:23.21 ID:c4Axoe8J0
ともすれば半日ほども結界の中をさまよい歩いただろうか。
「杏子、気をつけて」
「分かってる」
杏子とキュゥべえは、ようやく魔女の本体が待ち受けているであろう結界の最深部へと到達していた。
「基本的には、この前君が倒した魔女と攻撃パターンは類似しているはずだ。まず間違いなく、あの時の魔女が産み落とした使い魔が成長した個体のはずだからね」
「だけど、魔力は桁違いに強いじゃねえか。どうなってやがんだ?」
「手にかけた人間の数が思いのほか多かったのか、それとも……」
「来るぞ!」
杏子は叫びざま、槍を地面に突き刺した反動を利用して跳躍した。
まさにその瞬間、巨大な刃物が空を切り裂いて杏子の立っていたあたりに突き刺さる。
「やっぱりこないだの奴と……」
しかし、安堵している余裕はなかった。
杏子が前方に視線を転じると、間髪を入れずに二撃目、三撃目が唸りをあげながら迫って来ている。
「ちっ……!」
瞬時に杏子は空中に結界を張り、それを足場に方向を転じると同時に、襲いかかる刃を槍で叩き落とした。
「本体は……どこだ?」
雨のように降り注ぐ夥しい数の刃物の攻撃を、尋常ならざる槍捌きでかわしながら結界の中心に向かって切り込んでいく。
やがて、それは姿を現した。
「な……?」
思いもかけなかったものを目の当たりにして、ほんの一瞬だけ、杏子の集中力に乱れが生じた。
それが命取りになった。
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