92:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 03:59:46.72 ID:c4Axoe8J0
「初め彼女は……心の隙をつかれて、使い魔に魅入られたんだろう。だが彼女には、ふつうの少女にはない素質があったんだろうね。魔力を涵養する、器のようなものとしての素質とでも言うべき何かが。それに気づいた使い魔は、彼女を殺しもせず、餌にすることもせずに、その中に棲むことに決めたんだろう」
キュゥべえが話をする間、マミは表情一つ変えずに、目の前の「魔女」を見ていた。
「この2ヶ月、彼女の内側に隠れ潜んで、魔女は機会を伺っていたんだろうね。宿主の魂を内側から喰らい、さらにいくたりかの人間を手にかけた魔女は、膨大な魔力を蓄えて、ついに自らの結界を外の世界に展開した。それが―今僕たちがいる、この場所だよ」
「キュゥべえ……一つ聞いてもいいかしら」
マミは静かに口を開いた。
「あれは……魔女なのね?」
「そうだ」
「あんな姿をしているのに?」
「今は、抜け殻になってしまった少女の身体を被っているに過ぎないよ。ぬいぐるみを被るみたいにね」
「そう……」
マミは言った。
「魔女」はじっとこちらを見ているだけで、攻撃を仕掛けている様子はない。
キュゥべえはその様子とマミとを交互に見ながら、言った。
「やはり、相手があの姿では戦えそうにないかい、巴マミ?佐倉杏子も戦闘できる状況にないし、ここは一度撤退して……」
少しの間、沈黙が流れた。しかし、やがてマミはきっぱりと言った。
「それは駄目よ」
「マミ……」
杏子は心配そうにマミの顔を見る。
だがその眼差しには、凛とした決意の色が宿っていた。
「あんなに強力な魔女をこれ以上野放しいにするわけには……いかない」
そしてマミは一歩、二歩と歩を進めた。
視線の先には「魔女」の姿があった。
幼いころからいつも眼差しを交わし合い、夢を語り合い、そしてともに笑い合って来た親友―青梅あきの姿が。
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