過去ログ - とある神父と禁書目録
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12:>>1 ◆weh0ormOQI[saga]
2011/12/25(日) 22:44:15.45 ID:21JsyUv70


「迎えが来たようだな」

「え?」


父に詰め寄ろうとして、ローラは誰かに肩を掴まれた。
確たる意志の強さのこもったしなやかな握力。
不躾な行為であるはずなのに、不快な気分にまるでならないこの温もり。
これは、ローラの知っている手のひらだ。
振り返る。


「…………あ、え?」

「帰ろう、ローラ。君を待っている人が、まだ此方にはいる」


実りに垂れる稲穂のような、素朴な黄金色の頭髪が最初に目に入った。
ローラがこよなく愛する焼き菓子そっくりな、しかし数十年ぶりの色だった。
彼女の知る彼の頭髪は、本来めっきり薄くなって久しいものであるはずなのだが。


「ああ……この姿か。せっかく一時とはいえ年格好など関係のない世界に来たのだから、
 多少は見栄を張ろうと思って、な?」


容姿に似合わぬ老成した語り口調で、青年が秋波を送る。
嫌みの欠片も感じさせぬ自然な仕草だった。


「ど、どうしてここに? ……いえ、それよりも私にはまだ、あの男に聞かなければ
 ならないことが残っているわ」




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