過去ログ - とある神父と禁書目録
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267:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/01/14(土) 22:08:19.20 ID:TikXGamK0

御坂美琴にとってのIndex-Librorum-Prohibitorumは、憧れの女性像そのものだった。

もちろんそんなこっぱずかしい事実、口が裂けても本人の前でなど告白できない。
どころか夫にすら打ち明けたことのない、数少ない美琴のトップシークレットであった。

はじまりは十一年前の九月一日、地下街での邂逅だった。
ちょっと気になるアイツの隣を、当たり前のように占拠していたちびっこシスター。
同じような地獄の底から同じように掬いあげられたのだと聞かされて、自分が彼にとって
特別でもなんでもない、その他大勢の一人なのだと改めて突きつけられた、そんな日だった。


『とうまは何があっても絶対帰ってきてくれるんだから』


そして同時に、決して立ち入れない聖域が自分の知らない二人の間に存在しているのだと、
おぼろげながらに感得した日でもあった。
その事実が後々になって、生来の負けず嫌いである御坂美琴の心に激しく火を付けたことは、
今となっては疑いようもない。
インデックスという憎らしくも愛しい、最強の恋敵と出会った。
だからこそ自分は上条当麻を射止めることができたのだ、という確信が美琴にはあった。

勝てないな、と思ったことは一度や二度ではなかった。
自分の初恋はきっと実りはしないのだろうと、二人との交流を深めれば深めるほど悲観は
日増しに強まっていった。
美琴の目から見た上条たちにはそれほどまでに、時に泣きたくなるほどに、二人寄り添って
生きているのが自然だと思わせる“なにか”があった。
なによりインデックスという少女は、上条当麻の中で特別な位置を占めていた。
インデックスにとっての上条当麻が特別であるように、上条当麻にとってのインデックスも、
この上ない特別だった。

鎌首をもたげる弱気を必死で飲み込みながら美琴は、上条とインデックスの男女としての
理想的な在り様を、羨望の眼差しで見つめ続けてきた。
だから美琴には、二人を結ぶ緩やかな『線』が醸し出す優しさを、当人たちよりもよほど
深く知悉しているという自負があった。




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