392:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 22:56:20.23 ID:GFjxftzi0
「アレイスターは、死んだのよ」
「君の目で確かめたわけではないだろう。ならばまだ、彼の生に一縷の望みは残っているのではないか」
「……まあ、そうね。貴様が余計なおせっかいを焼いてくれたおかげでね、ジジイ」
七月二十八日。
ローラはアレイスターと刺し違える覚悟で、かの怪物の根城を内側から封鎖した。
そのままいけば、ロンドン中を巻き込んだ自動書記の大魔術の余波により、二人は死んでいたはずだった。
外から封鎖を破って侵入してきた第三者――――マタイ=リースさえいなければ。
「あの男がロンドンの『滞空回線』から逃げ出す時間は、十分にあったわね、確かに」
「それなら、今もこの会場のどこかで娘の晴れ姿を眺めているかもしれないだろう? 例の機械は目に見えないほど小さい物らしいし」
「ナンセンス、ありえないわ。それとも健忘症が進行したのかしら? 英国の『滞空回線』は一つ残らず消滅したと、お前もあの日聞いていたでしょう」
そう、ありえない。
百歩譲って万が一、アレイスター=クロウリーがいまだ生きながらえていたとする。
その万が一の可能性を追うためだけに、ローラは命数遠からず尽きる残りの生涯を捧げると決めていた。
しかしこの会場に来ている、などということだけは物理的にありえない。
インデックスの父親役は上条刀夜一人いればそれで十分だ。
ローラは鼻を鳴らした。
反論があるなら言ってみろとばかりに、古木のごとく無数の皺をその身に刻んだ老爺を睨みつける。
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