46:>>1 ◆weh0ormOQI[saga]
2011/12/27(火) 22:17:03.56 ID:l5SKq28Z0
-----------------------------------------------------------------------------
女は知っていた。
ステイル=マグヌスには才能がない。
フィアンマのような、凡人が息を吐きたくなるような天賦がない。
浜面仕上のような、強者たちの度胆を抜かす発想がない。
一方通行のような、窮地で目覚めてくれる進化がない。
上条当麻のような、決して折れぬ信念がない。
まったく“ない”とまでは言わない。
ただ、足りていないのだ。
中途半端なのだ。
天才魔術師と世に持て囃されようが、真の強者には太刀打ちできない。
出来ることといえばせいぜいが横槍を入れるか、時間を稼ぐか。
血のにじむような努力を重ねて重ねて、手に入れたのは蟻の這うような速度での、
進歩と呼ぶのも情けないミリ単位での成長。
そうして会得したちっぽけな力にすがって、結果何度も何度も膝を折った。
だから、ステイル=マグヌスは主人公にはなれない。
女はそれを知っていた。
そんなことは誰よりもステイル自身が痛いほどに思い知っていると、女はずっとすぐ隣で、
ずっとずっとその心を見つめ続けて、知っていた。
422Res/296.80 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。