過去ログ - とある神父と禁書目録
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67:>>1 ◆weh0ormOQI[saga]
2011/12/27(火) 22:46:47.29 ID:l5SKq28Z0

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女は世界がかたちを変える正にその瞬間を、無為に見送るほかなかった。

『神浄』が手に持つ杖を偽りの日輪に向け振りかざす。
蒼天に浮かぶ恒星が光を失っていく。
黒点の活動が肉眼でも観測可能なほどに、昼が夜に再び塗り替えられていく。

そしてそれは、地球の裏側でも同様だった。
ロンドンの真上で死んでいく太陽は実存する本物のレプリカなのだと、あれを創造した
女自身が誰よりよく知っていた。
よって間もなく地球は、いや太陽系は、宙で最も眩い道標を失うことになる。
それこそが『法の書』の定める神の死なのだと、解読した女は嫌になるほど知っていた。


「あ、あ」


術者の意思を離れたがゆえだろうか、『神浄』の動きは緩慢だ。
『世界の根源』が微小なりとも疑似太陽の生成を阻害した、ちっぽけな蹉跌が『神殺し』に
与える影響は計り知れない。
もしかしたら、ステイルが勝つ可能性はゼロではないのかもしれない。


「や、だよ」


しかし、それでは意味がない。
女にとってステイル=マグヌスが斃れる可能性は、絶対に、確定的にゼロでなければ、
なんの意味も成さない。
だから女は、男の蛮行を是が非でも思い留まらせなければならない。




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