69:>>1 ◆weh0ormOQI[saga]
2011/12/27(火) 22:49:19.25 ID:l5SKq28Z0
考えれば考えるほど、心が身動きを取れなくなっていく。
その間にも時計の針は休むことを知らず、正確に己が役目を果たしている。
女が一度は『無限の愛』を傾けた尊い世界が、生まれ変わるために死んでいく。
「あぁ……」
――――というのも途轍もない一大事だが、女の嘆きの本質はそこではない。
「い、や」
女が怖いのはもっと矮小で、もっと浅薄で、もっと個人的な喪失だ。
「やめてよ、わたし、たすけてほしくなんかないから」
女の『無上の愛』の行き先である男が、死を恐れずに死に立ち向かってしまうこと。
「さっきの、うそなんだよ、だから」
それが、それだけが、女の究極の恐怖だった。
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