82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage saga]
2012/01/08(日) 03:05:02.03 ID:stJi0ct8o
勇者「い、妹?」
魔使♀「家に残してきたの。あなたと違って、私に似て、とても利発的な子よ」
勇者「えっ? えっ?」
魔使♀「とても利発的な子だったから、家が貧しいことをよく分かっていたの」
魔使♀「だから食べたいものがあっても、絶対におねだりするような子じゃなかったわ」
勇者「……」
魔使♀「一度だけ、家族でケーキを食べたことがあるの」
魔使♀「父が無理して出費して、母が安く買ってきたケーキよ」
魔使♀「美味しかったわ。ケーキは小さくて粗末だったけど、美味しかったのよ」
魔使♀「以来、妹はケーキという言葉に反応するようになったわ」
魔使♀「決して口には出さなかったけど、妹はケーキを食べたかったのよ」
勇者「……」
魔使♀「あるとき私は、あの子に嘘をついたの。『ケーキが食べられるわ』って」
魔使♀「それまで私が嘘をついたことなんてなかったから、あの子はとてもとても喜んだわ」
魔使♀「私も、すべてを耐えて貯めたお小遣いで、ケーキが買えると思っていた」
勇者「……」
魔使♀「でも、結局無理だった」
魔使♀「顛末は省くけど、原因をたどると魔王のせいということになったわ」
勇者「!」
魔使♀「私に、妹に嘘をつかせた罪は重いわ。だから私は、魔王を許さないのよ」
勇者「……そ、それで俺のパーティーについてきたのか……」
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