90: ◆a36IBHPVSk[sage saga]
2012/01/07(土) 21:31:02.46 ID:bNXjNb8Mo
男は手元のスイッチを殴る。すると今まで静寂を吐き出していた冷却ファンが最高回転で回り始め、ログを表示する無数のディスプレイはもはや人が追いつけないほどの速度で情報を更新してゆく。
男はながめていた。微笑みを浮かべながら。
少女は一瞬大きく身体をけいれんさせ、目を開けた。少女は動き始める。
それと同時に、猛獣がその拘束を取り外そうとするような音が鋼鉄のベッドから発せられるが、男の表情は変わらない。 これが産まれてくるものの苦しみを表しているのか、それとも地獄の門から聞こえる悪魔の声なのか。
そして、其れからはよく覚えていない。ただ、目の前に少女がいた。
男「…」
少女「…」
それらが全て終わったとき、鋼鉄のベッド…拘束の意味も込めてあったそれは大きく歪み、その残骸の上に少女は立っていた。
人は経過した時間にさえ、美しさを感じ、感動することが出来るのだろう。男は涙さえ流してはいなかったが。
一瞬が無限に引き伸ばされるような感覚の中、男はその声で戻ってきた。
その昔に聞いた事のある、すこし忘れかけたけれどまだ覚えていた、その声で男は戻ってきた。
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