過去ログ - とある主人公たちのハーレムルート
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42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/01/06(金) 23:36:00.43 ID:wLWx/ORko
下衆な上条には妊娠の恐怖はわからない。
自分の肉体の中に別の誰かが存在して、その彼彼女を一生育てていかなければならないというプレッシャーを理解することができない。
寧ろそうなれば一生美琴を支配できるのではないか、という狂った思考にこそ到る。
中学生の妊婦など抱ける男はこの日本にそうはいるまい。それはそれで楽しそうだと心の底から笑う。
繰り返すが、彼は男女の情愛を理解していないわけではない。
ただその理解がずれているのだ。
現実を理解できずフィルター越しの幻想しか理解できない。
戦争帰りの復員兵に似ている。
死を身近に感じすぎて具体的な日常に戻れないのだ。
その心の罅や洞が肌を重ねる女たちに向けられている。
単純に、子供なのだろう。長いスパンで物事を考えられないだけなのだろう。
彼にだって責任を取るという言葉の意味ぐらいならわかる。しかしそれは表面を知っているだけで内側の重さを知っているわけではない。
アフターピルを用意しておいて、もしそれでダメならばその時に考える。その程度のルーチン。
大人ではないのだ。
然しそうだとしても。
差し出された上条の手を美琴は握る。
彼にはまだまだ時間があるし成長もする。
女の心を理解できないまま女を抱いている悪癖も治るかもしれない。
彼の中には輝いて眩しいぐらいの何かが存在していて。
それに美琴が見惚れたのは事実なのだ。
多分インデックスという少女も同じで。
性的な奴隷として扱われていながら彼と距離を取ろうとしないのだろう。
出来るのならば自分を選んでもらいたいし自分だけを見ていて欲しい。
そうでないのだとしても彼の傍にいたい。
性的な意味ではもう少しマトモになって欲しいけれども。最低でもアフターピルが万能でないことぐらいは理解してもらわないと。
すっと立ち上がった美琴が涙目のままで上条に抱きついて唇を重ねる。
「大っ嫌い」
熱した皮膚に肌寒い風を感じながら上条の腕の中で美琴が言う。
肉体の内側で跳ねまくる心臓の音を感じる。
「アンタなんか大っ嫌い」
「知ってる」
言って、今度は上条が唇を奪う。
先程までと打って変わったように優しい瞳で。
んっ、と軽い抵抗だけして美琴が受け入れる。
「上条さんは何処かおかしいんですよ。わかってるんだけどな。ブレーキ踏まなきゃいけないところでアクセル踏んじまうんだ」
つつっ、と美琴の太ももに不純な液体が滑り落ちる。彼と彼女の遺伝子が混ざり合うこともなく重力に切り裂かれる。
上条がカバンからティッシュペーパーを取り出してそれを拭う。拭って、白く泡立った性器と周囲の陰毛も綺麗にする。ムッとする性臭を感じた。
コンビニの袋をゴミ箱がわりにして使ったティッシュを捨てて、今度はウェットティッシュで美琴の肌を磨く。
アルコールの揮発に寒気を覚えながらも下半身を丸裸にしたままの美琴は何も言わない。
掃除が終わって、美琴が下着と短パンとスカートを身につける。肩口の伸びてしまったニットは大まかに形だけは整えたものの、もう御役御免だろう。
目立たないように隠しながら帰るしかない。
身支度を整えている間に上条も自分の体を綺麗にする。といっても愛液にまみれたペニスと周囲を拭うだけだ。
簡単に終えて、すべてのゴミをまとめたコンビニの袋の口を閉じた。帰り際に公園のゴミ箱に捨てていく。
遺伝子情報が云々カンヌンといった条約はあるが、ジュースの缶を全て回収している訳でもない学園都市だ。
自分たちの世界の中で焼却処理される分には問題にもならない。
「そういやさ」
もう帰るだけ、という段になって上条が自分のカバンを掻き回す。なかから可愛らしい手のひらサイズの紙袋を取り出す。
「安物だけど美琴に似合うかなと思ったんだ。嫌だったら捨ててくれ」
袋を開けて、中から出てきたのは大きな向日葵のヘアピン。闇が混じった夕暮れにもその黄色い色が明るく映える。
「へぇ? アンタにしちゃ珍しい心遣いね」
にこり、と笑った美琴が上条の手のひらに置かれたヘアピンに手を伸ばす。
確かに安物で玩具じみた作りで高級感など全くないが、割り切った分だけ何処かしらサッパリとした印象を感じる。
春口で、まだ季節が合わないが明るい太陽のようなイメージは嫌いではない。
しかし手にとったヘアピンを美琴は身につけようとはせずそのまま上条の手のひらに戻した。
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