過去ログ - 知久「今日はほむほむの特売日だ」
1- 20
688:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/01/29(日) 13:27:48.34 ID:JnDIout0o
 まどか「お待たせー、二人とも。ちょっと先生との話が長引いちゃって。ごめんね」
 ほむら「いいえ、それ程待っていないわ。行きましょう」
 さやか「転校生、図書館の場所知ってるの?」
 ほむら「ええ。街の事はある程度は調べたから」

とっさに嘘を付いてしまう。お天道様に顔向けできないような事は今は何もしていないのに。
自分の嫌味な性分が、つくづく嫌になってくる。

 まどか「そっか。まあ、公式のサイトなんかに出る情報じゃないし」
 さやか「当然っちゃー当然かあ」

二人の話にまるでついていけない。まさか、何年も過ごしたミタキハラでこのような疎外感を感じるとは思わなかった。

 ほむら「…ねえ、そろそろ教えてくれないかしら?何があるの?」
 まどか「…ほむほむを知らないって事はさ、ほむらちゃん、ほ虐も知らないんだよね」
 ほむら「…ほぎゃく?」
 さやか「ほむほむ虐待、略してほ虐」

新入りに業界用語を説明するように、さらりと答えるさやか。

 ほむら「あなたは動物虐待をしているの?」
 さやか「うん」
 ほむら「虐待を…」

冷静に見えるよう受け答えをする自分とは裏腹に、心の中はどろどろとした怒りで満ちていた。
動物虐待などは人の心を失った者のすることだ。ましてや自分に似た動物のこと、憤怒に身を任せるのも当然のことであろう。

 ほむら「信じられないわ…あなたはそういう人だったの?」

さやかから、心なしか離れながら聞く。長い時間を過ごしたこの街の中から、ひどい不協和音が聞こえてきた気がした。
今まで、ミタキハラの専門家という訳ではないが、この街についてただの中学生以上の事は知っているつもりであった。
それが、まどかやさやかが動物虐待に加担していると言うのだ。まさか守り、敵対してきた二人が、街の人間の多くが、動物を虐待しているかもしれないだなんて。
自分の今までの歴史が全てふいになってしまったようで、目眩がする。

 まどか「えっとね、先に行っておくと、ほむらちゃんにほ虐を強制するつもりはないの。
     街に古くから住む人からすれば、ほ虐は子供の頃からずっと親しんできたものだけど、ミタキハラに引っ越してきた人も多いし。
     ただ、ほむらちゃんにはどうしても知って欲しかったの。その…色々と…うん。理由だって…」
 さやか「やっぱさ、街の歴史だもの。それに…あんたにそっくりだしさ」
 ほむら「…もう結構よ。私は、虐待に加担するつもりはないわ」

二人を振り払って去ろうとする。吐きそうでたまらなかった。感情が内で爆発しそうだったが、すんでのところでまどかの悲痛な声が聞こえ、押しとどめる。

 まどか「お願い。ほ虐の歴史だけでも知って。ほむらちゃんなら、この街の歴史に共感してくれると思ったから…」

まどかにそう言われると弱い。さすがに虐待を容認する気にはなれないが、図書館に行く約束もしてしまった折、無碍に断ることもできない。

 ほむら「…分かったわ。ただし、それだけよ。虐待をするつもりはないわ」
 さやか「勿論。分かってくれてありがとう、転校生」

その台詞には言葉以上の感情は入っていないようだった。この子はこんなに素直だったかと驚く。
どうやら、今回の時間軸もかなりのイレギュラーなようだ。
図書館に到着するまでの数十分は、動物虐待などという由無し事よりもワルプルギスの夜、そしてクリームヒルトの方が頭を悩ませていた。
この時の自分は愚かで周りが何も見えなくなっていたと思う。今となってはもう、取り返しがつかない。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/600.64 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice