22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/01/07(土) 23:27:44.85 ID:g2OIaAUDO
「ここはオフィス街だからねぇ……。繁華街……お店がいっぱいあるところまでいかないとないねぇ」
「駅を挟むし、難しいかな」と言って、やにわに「あっ」と零す。
「そういえばお嬢ちゃん、何に乗ってここまで来たんだい?」
「乗る……? いや、歩いてしかおらぬが」
世界を渡り、出た先がこのオフィス街だ。
「歩いて? 地下鉄じゃなくてか……。もしかしてここの近くにお家が?」
「うむ。そうじゃ」
真っ赤な嘘であった。
何やら迷子の疑いを持たれている気がしてならず、方便で誤魔化す。
とりあえず、電気屋に行くには繁華街、繁華街に行くには地下鉄。
ということを聞き出して知り、大まかな行き方も教わる。
そして、
「色々世話になった。せめてものお礼じゃ、受け取ってくれ」
慇懃に謝辞を述べ、華美な外套を手渡す。
着の身着のまま来ているため、衣服しか渡すものがないのだ。
「え、いやいや、受け取れないよ。それに一応交番まで連れていって、親御さんに連絡を――って、あれ!?」
職務中の警官は当然返して「その気持ちだけで十分だよ」とでも言いたげだった。
だが、時既に遅し。
魔王は目にも止まらぬ早さで――衝撃波を撒き散らさないよう加減して――遁走していた。
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