過去ログ - 魔王「異世界でネトゲしてくる」
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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/01/09(月) 16:43:08.25 ID:Szi3hrtDO
「それにしても、ぴーしーがあそこまで高価とはな……」

件の駅員から絶望的な事実を聞いたこともあって、気が重い。
この世界に於ける金銭感覚の備わっていない魔王。
とは言え、地下鉄の運賃とパソコンの代金を比較すれば、物価に多少なりと推量はつく。
それでも、やるべきことさえ分かっていれば。
ひたすら邁進できる気質の魔王は、すぐに普段の調子を取り戻す。

「さて、人もおらぬようであるし書くか」

ふよふよと浮かぶインクを危なげなく操り、すらすらと履歴書に書き込んでいく。
名前、魔王。

性別、女。

住所、魔王城。

郵便番号、たぶんなし。

生年月日、不明。たぶん創世時から。

年齢、八(以下略)一三七八(中略)四八九七(ここから先は省略されました)四三六五(こっから先も省略)一九六六(はいはい、省略しますよ)七七六四(後略)歳。

資格、免許、検定、なし。

学歴、なし。

職歴、魔王。

志望動機、この溢れんばかりの勤労意欲で社会に貢献したく、志望致しました。

自己アピール、どんなに堅牢な砦も魔法ひとつで吹き飛ばす自信があります。

口を割ろうとしない頑固者に、割らせてくれと懇願させる経験も豊富。躊躇しません。

配偶者、なし。

扶養家族、(臣下すべて)

「うむ、これなら磐石であろう」

書き上げた履歴書を掲げ、満足げに一言。
一体どんな仕事に就くつもりでいるのか。
甚だ疑問であったが、勝ち気に吊り上げている唇から、懸念という言葉は連想できない。

因みに。
解読、筆記、発声、聞き取りに関しては、世にも便利な翻訳魔法である。
名詞や独特の動詞、概念といったものさえ掴めれば、現役の通訳や翻訳家のお株を奪いかねない代物。
言語の壁は粉微塵だ。

閑話休題。
残る問題は証明写真だった。

「えきいんから聞いた話では、これにも金がいると申しておったな」

しかし先立つものがない。
働くにも金銭が必要とは。
世知辛い世の中、という見方がすっかり定着してしまっている魔王。
その瞳が、路地の奥に落ちている何かを捉えた。



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