3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/01/07(土) 14:07:01.62 ID:g2OIaAUDO
側近は感情味の乏しい〜のところ、
『感情味の乏しい表情に戻り、やれやれと首を竦めて側近は言う』に訂正
細かいことなのでどうでもいい人は流してください
「そ、そのようなことは――」
「ない、とは言えぬであろ?」
「っ……」
先回りして押さえ込まれ、側近は苦しげに呻く。
主君の言う通りだった。
敵軍の脆弱な兵力では、仮初めの命を吹き込まれ破壊と殺戮に酔いしれる魔獣しか、対抗しきれない。
未だ戦争を続けている理由はこちらの意思だ。
かつていた数少ない人間の友と、国の言いなりになるしかない弱き人々。
魔族と人は相容れない。
しかし、彼らが国の思惑で運命を弄ばれ、散っていくさまは筆舌に尽くしがたい感傷を沸き上がらせた。
征討されたふりで終わらすことも考えたが、人間の手で世界が平定された先に待つのは、人間同士の争い。
先見の能力《ちから》を持つ魔族は、皆同じ未来を予測した。
だから、一芝居打つことにしたのだ。
手の足りないところにだけ魔獣を配置し、双方の犠牲を最小限に食い止めた。
それでも戦場で散り、長い年月をかけて積み上がっていく屍の山。
泰然としながらも、主君が胸の内に葛藤を秘めていたことを、側近は知っている。
直接手を下さぬから、生き残るためだからと、[ピーーー]業を誤魔化そうとはしない方だから。
そして、主君の戦闘能力は手心を加えても甚大な被害をもたらす。
政治能力で言えば、主君を凌ぎ、主君の後釜となれる人材が大勢いる。
私情を抜きにすれば、訥々と語られた内容は事実だった。
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