過去ログ - 打ち止め「失恋でもしたの?」一方通行「……かもな」
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870:たった三人の最終決戦[saga]
2012/03/19(月) 00:16:16.88 ID:imzUfJVo0



天から降り注ぐ陽光を浴び、その少女は輝いていた。
白銀の髪を、白磁の肌を、白亜の衣装を、少女の純粋性を表わしたような少女の白を陽射し色に染め上げていく。
光色とてもいうべきか、祝福の一切を受けたようにその空間全ての輝きを独り占めしたかのような少女は跪いていた膝を離す。
日本古来の神を祭る場においては似つかわしくない祈りの手を解き、軽く膝についた砂を払う。



「かおり、ステイル、ごめんね」

背の高い木々に覆われて、微かに隙間を縫うように降り注ぐ日の光に照らされた静謐な空間。
神木の香りと埃っぽさの漂うその場所は一般の観光客では足を踏み入れる機会がまずありえない。
この地に降臨していたという女神の代役のように、白い清潔なワンピースに身を包んだ少女は眉尻を下げて神裂とステイルを見上げる。
その翡翠色の瞳には申し訳なさが暗い影となっているが、それすらも憂いを帯びた横顔には艶めかしさの役割を担っている。



後悔の色だけはそこに無い事にステイル=マグヌスは安堵した。
自分の行為は全て少女の為に為されるものなのだ、その少女当人がこれから行う行為に後悔してしまっていては意味が無い。
彼女の導きで、性に会わぬ力まで手にした全ての行動が無意味になってしまう。
だからこそ安心したのだ。自分の行動は少女の後悔を喚起してなどいない事に。

神裂火織は胸に燻る不安と不満を強引に捻じ伏せる。
数日前、上条当麻を叩き伏せた感触が未だに残る手で七天七刀を強く握る。
感触を振り払うように。数日前叩き伏せた上条の困惑と悲哀に満ちた目が瞼の裏に焼き付いている。
覚悟の上だったのだ、何を今更と自身を詰る。全てはこの少女の為なのだから。


「何を謝っているんだいインデックス?僕には君に謝られる心当たりがとんと無いんだが」

「貴女が望んだならば、私達は全力をもってそれを支持します。私達の全霊をもって貴女の願いを守ります。貴女が後悔しない限り私達もまた後悔などありません」



心中に抱く思いの形は違えども、二人には共通している唯一の信念があった。
この少女の為に自分達の全てがある、という事。
たった二人の味方。心許ないだろうか、いや、そんな心配など決してさせはしない。
ステイルと神裂の顔には既に決意の色が色濃く浮かび上がっている。
もとより、彼女を守り続けるという誓いは二人だけのものなのだ。上条という遅れてやってきたヒーローよりもずっと前に。


「準備は殆ど整った。後は刻を待つだけだね」

「万が一妨害が入ろうとも、私達が必ず食い止めます。貴女は術式の発動にのみ専念して下さい」




力強い二人の笑みに、インデックスは頷く。

既に腹を括った、硬質な刃のような覚悟の宿る瞳は自身を照らす太陽へと向けられた。








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