過去ログ - 打ち止め「失恋でもしたの?」一方通行「……かもな」
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888:初代の残滓[saga]
2012/03/19(月) 19:03:32.30 ID:imzUfJVo0



「やはり来たね君達は」


赤髪の神父はわかりきっていたオチを目にしたようにつまらなさそうに呟くと煙草を吐き出す。
木目も露わな鳥居にもたれ吸い終わった三本目を砂利の上に落とすとブーツの踵で踏み潰し、律儀に携帯していた灰皿に押し込む。
予想を裏切られたのは上条と一方通行の方であった。当然何らかの妨害、罠が仕掛けられていると踏んでいたのだ。
神父服を軽く払うと小馬鹿にしたように薄く笑う。
ステイル=マグヌスとの身長差は自然と見下すものになる。


「端からわかってたと言いたげだなクソ神父」

「そこの上条当麻の忌々しい程の諦めの悪さは嫌というほど知っているからね。それに神裂は優しい女だ、手心を加えることは予想が付いていたさ」


足腰立たなくしておいてくれれば楽だったのに、と冗談とも本気とも付かぬ口調で零す。


「だったら俺が何の為に来たのかもわかってるよなステイル」

「勿論。あの子の意思を無視して無理矢理連れ戻しに来たんだろう?」

「インデックスのしようとしていることが世界中から目を付けられる危険な事だって知った上でもお前はまだ…」

「愚問だな上条当麻。僕は何よりも彼女の幸せを望む。彼女の願いが果たされることを望む。それが例え世界との決別になろうとも…僕にそう思わせるようにしたのは君自身だ。

正確には……僕の価値観を覆し敗北感を味あわせたのは“あの”上条当麻だったね。今の君ではなく」


上条は何か反論を口にしようとして押し黙る。
言葉を厭った訳ではない、痛いところを突かれたからだ。
何も言い返さない上条を鼻で笑うとステイルはおもむろに懐からカードを取り出す。
彼を包み込む気配が硬くなるのを肌で感じる。


「そこをどけ、ステイル」

ステイルの言葉の一つ一つが虚勢なのか挑発なのか、上条は真意を探ろうとして即座に切り捨てた。
余計な思考は迷いを生んでしまう、それは今の不安定な自分にとって致命的ともなりえることを上条は十分に承知していた。
インデックスに去られた心は嘗ての頃よりも揺らぎやすく、脆く成り果てている。
たった一人の少女の不在が強固だと少なからず自負のあった己の心に罅を入れてしまうことを惰弱だと自嘲するのは後でいい。


「随分と強引な申し出だね。僕のこの行動が誰の望みか君はわかっているはずだ。それを承知で君は押し通るのかい?」

「関係無ぇよそんなこと。俺が用があるのはインデックスだけだ。これは俺とインデックスの問題だ。お前の許可なんて最初から求めちゃいない」

「俺とインデックスの問題ね……ははは、まるで当事者みたいな物言いじゃないか。彼女が何故こんな行動に踏み切ったかも知らされていない君が」

「―――― !!」


握りしめた拳に力が篭る。血液が首筋を上り、頭の奥を熱くした。
怒りの感情が理性を麻痺させ行動と直結させたのだと自覚する前に足は自然とステイルに向かって踏み出す。
衝動的な行動。拳をただ目の前の男に叩き込むことのみに上条当麻の全身が駆動する。









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