過去ログ - 打ち止め「失恋でもしたの?」一方通行「……かもな」
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890:蹂躙の蒼、再び[saga]
2012/03/19(月) 19:05:38.75 ID:imzUfJVo0


舌打ちと共に、ステイルの掌から生じた炎の剣が小さな盾となって鉛弾を水あめのように液化させる。
一方通行が照準を足元に変え、素早く残りの弾丸を吐き出すよりも先に炎の剣はステイルの手から離れ薄い障壁となって何の魔術的霊装も施されていない鉛を蒸発させる。
距離を取ったのは拳銃を構えた一方通行の方であった。
一方通行の立っていた場所を粘り気のある炎が舐め、砂利を炭化させていく。
寸でで察知した一方通行は杖を勢い良く叩きつけ棒高跳びの要領で立ち位置を大きく移動させていた。
器用なものだなと、口笛すら吹きそうにステイルは感心したように目を丸くする。


「まるで猫のような機敏さだね。第一位の身体能力は並み以下だと聞いていたのだけれど」

「生き汚さには定評があるンだよ。オマエの方こそ随分とあっさりと行かせたじゃねェか。お目溢しのつもりか?」

「適材適所だよ。遺憾 だが上条当麻と僕では相性が悪過ぎるからね。あっちは神裂に任せるさ」

「まるで俺になら勝てると言いたげだなァ?」

「そう聞こえなかったかい?それともこの前の敗北だけじゃ味わい足りなかったかい超能力者」

「いいやァ…クソ不味いモンをありがとうよ雑魚野郎。けどなァ…」

言うなり青年は拳銃を躊躇無く投げ捨てる。
怪訝な色を浮かべるステイルに、一方通行は犬歯を剥き出しにして嗤う。



「あンなモンじゃ足りねェな。アレくらいじゃあ俺は負けだと認めてやらねェよ。やるなら徹底的に俺の心を折って見せろよ」


口角を吊り上げ、牙を覗かせ、食欲という本能に根差した欲望の熱を宿した瞳。
肉食獣が獲物に食らい付く瞬間、それは見様によっては笑っているように見えるのかもしれない。
ステイルは粟立つ肌を押さえつけながら目の前の青年の歪な笑みを見てふとそんな事を思った。
一度は勝利した青年の得体の知れない不気味さに戦慄を覚える、しかし、それは僅かなものであった。
すぐにステイルの思考は切り替わる。

一方通行の言うところの「心を折る」為の行動へと、その思考の全ては向く。


「ならば期待に答えさせてもらおう。今度こそ君の心を折る事でね」


その声に呼応するように蒼い炎が周囲から巻き起こる。
ステイルの手にあったカードに注視していた一方通行は僅かに眦を上げる。
蒼い炎に囲まれ、その表情に僅かな驚愕が浮かぶのを確認しながらステイルは学園都市最強の怪物を沈めた術を再び発動させた。






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