過去ログ - 打ち止め「失恋でもしたの?」一方通行「……かもな」
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947:バードウェイの真意[saga]
2012/04/01(日) 02:23:13.21 ID:PwzajTw/0



「!?」

氷柱を突き立てられたような悪寒がステイルの背筋を走る。
自分の立つ大地が、鳴動した。
地震のような震動ではない、踏み立つ砂利の下に剥き出しの臓器が敷き詰められているような生々しい脈動。


心音。


何かが生れ落ちようとしているような、生命の息吹。
生暖かい吐息を耳元で不意に吹きかけられたような怖気。
粟立つ肌を思わず抑え込むステイル。



ぐちゃり



粘着質な音を立てて砂利の間から滲み出るものにステイルは言葉を失う。
バードウェイですら異様な光景に目を見開く。
ドロドロとした汚泥のようなものが砂利の隙間から滲み出るのを呆然と見つめる。
バードウェイの視線は地面ではなく術式の中心、上条のそしてインデックスがいるであろう場所に向いていた。
釣られるようにステイルは視線を移し“それ”を目にした。
ドロドロと汚泥を滴らせながら、寝起きのように緩慢な動きで身体を起き上がらせる“それ”。
大雑把に手と胴体とわかるシルエットの頭頂部に当たる場所に張り付けた真っ白なのっぺりとした顔のようなものが辛うじて“それ”を人型と認識させる。


「あれは何だ!?これが術の現象…いや、違う…ッ」


次々と木々を呑み込んで行く汚泥に、ステイルの声が自然と震える。


「禁術に指定される魔術の条件は三つに大別出来る。その威力が甚大過ぎること。そして教義に反すること。十字教にとっては多数の神を認めるような術等がコレに当たるな。そして三つめ、何が起こるかわからないことだ。なる程、禁書目録はこの術を完璧に発動させたようだな。その結果だろうさ」


つまり、簡略化されていない本来の術の姿。
汚泥の影響の及ばぬ場所へと移動する魔術を起動させながら一方通行の倒れていた方へと目を向ける。


「オイオイ、何終わったような物言いをしてるんだ?寧ろ面白くなるのはコレからだろう」

「君の目的は…まさか」

「流石の私にもこうなる事はわからなかった。ただ、何かが起こるというくらいしかわからないからな、見てみたかったというのが本音かな」


利用価値が高ければ何としても解析をしたいという利益と、歴史に埋もれた禁術の本来の姿を見てみたいという魔術への探究心。



「正直私も想像が付かないが、この事態にヒーローたちがどう立ち向かうのか……なぁ、一方通行?」



這い出てきた汚泥がすっぽりと一方通行を呑み込んでいるのを眺めながら、バードウェイは不安と興奮の入り混じったくしゃりとした笑みを湛えた。




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