過去ログ - 酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった5
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326:れいまぁ ◆9ozEqs2lE0cc[saga]
2012/04/01(日) 01:52:14.81 ID:5ErbohVa0
 少女が母親に懇願し、目一杯背伸びをしたおめかし姿。
 の成れの果てだった。せっかくの浴衣は着崩れて、帯はゆるゆる髪はボサボサ。

 「あ、キモノ着てる!」

 「き、着物じゃないよ、浴衣……」

 すぐさま少女は言い直すのだが、少年に違いはわからない。
 予想はしていた。この少年は自分の興味の無いことには全くと言っていいほど関心を持たない。少年の脳のほとんどをしめているものは、学業でもマンガでも無く、不可思議なこと。そのたった一つだけ……。
 少女は零れそうになる涙を必死にせき止める。
 予想どおり予想どおり……。少女は悔しさを諦めに変換し、平常心を取り戻そうとした。

 「今日は、なんでこっちで、待ち合わせなの?」

 まだ少女の息は整うことなく、会話をするのも辛そうだ。

 「こっちには、何もないよ?屋台もずっと向こうのほうまでしか無いし……もしかして隠れ天狗?」

 少女は、同じくらいの年齢の男子が、天狗から飴をもらうことに並々ならぬ情熱を燃やしているのを知っている。ここ何日かずっと、盛りのついた犬のように走り回る男子達を見てきたからだ。そんな男子の浮かれようを、『男はガキね』と女子は笑っていた。もちろん少女もその一人。
 少女からしたら、まさかこの少年に限って、そんなものに興味を示すとは思ってもみなかった。
 少女は少しだけショックを受ける。


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