過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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13:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 19:06:36.70 ID:nNWGVWep0
「あれっ? 先輩達、もう着いてたんですかーっ?」


待ち合わせの予定時刻の大体十分前、
普段より少しだけ甲高いあいつの声が周囲に響いた。
ああ……、久し振りだな……、って思った。
卒業以来、電話で何回も話した事があるのに、
電話で聞くのと直接聞くのじゃ本当に全然違う。
それだけあいつは私達の心の中に残ってる存在なんだな。

私は自分が笑顔になるのを感じながら、
あいつの……、梓の声が響いた方向に視線を向ける。
私達に向けて駆け寄って来る梓と憂ちゃんの姿、
その後ろから少し遅れて歩いて来る純ちゃんと和の姿が見えた。

あれ? と私はちょっとだけ首を捻った。
どうして軽音部じゃない和が居るんだろうか。
梓からのメールにも和が来るなんて書いてなかったし……。

ま、いいや、と私は首を振る。
ひょっとすると憂ちゃんが和に頼んで来てもらったのかもしれない。
あんまりそう見えないけど、憂ちゃんだって和の幼馴染みなんだもんな。
それに軽音部でこそないけど、和だって軽音部を支えてくれた一人なんだ。
仲間外れにするのはあんまりだろう。
久し振りに和に会えるのは私だって嬉しい。


「おーい、あず……」


「あずにゃーんっ!」


私が手を上げて梓を呼ぶより先に、唯が梓の方に走り寄って行っていた。
予想通りだが、少しは自重しろ、唯。
道路も近いし、夏休みだから人通りも車も多いんだぞ。
流石に梓だってそろそろ嫌がって……なかった。
私の視線の先では梓が足を止め、苦笑しながら唯が来るのを待っている。
これは唯に抱き締めさせてあげる気が満々ってわけだな。

梓は本当はすごく寂しがり屋だ。
唯と会う機会が減っただけに、
溜まりに溜まった寂しさはただ事じゃないはずだった。
久し振りに唯の温かさを感じたいんだろう。

唯も唯で梓とあんまり会えなくなったせいか、
抱き着き癖の相手が私になる事が結構多くなっていた。
梓と体型が似てる私に抱き着いてるわけだ。
断じて私は梓ほど小さくはないけど。色んな所が。

でも、寂しがってた者同士、
今日は久し振りに二人で存分にくっ付き合えばいいと思う。
しっかり唯の言う『あずにゃん分』をチャージするといい。
いや、私もスキンシップは旺盛な方なんだけどさ、
大学の構内で抱き着かれるのはちょっと気恥ずかしいんだよな。


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