過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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133:にゃんこ[saga]
2012/02/16(木) 19:24:50.31 ID:gBJIKPgz0
「うー……っと……。
何処に鍵置いたっけ……?」


呟きながら自転車の鍵を探す。
私もあんまり自転車に乗る方じゃないから、鍵を何処にやったかはいまいち覚えてない。
そういや、母さんには、鍵を置く場所を決めておきなさい、ってよく言われたもんだ。
分かっちゃいるんだけど、
自転車に乗って家に帰ると、ついついそれを忘れちゃうんだよな……。
大雑把な娘でごめんなさい、お母様。

と。
不意に胸が痛んだ。
今は母さんのお小言を聞く事が出来ない。
どんなに願ったって今は無理なんだ。
それが寂しくて、とても辛くなった。
今はまだ仕方が無いけど、出来ればそれは『今は』であってほしい。
『もう』母さんのお小言を聞く事が出来ない状況であってほしくない。
いつかは……、こんな異常な状況から解放されたい……。

さっき実家の玄関を開けたばかりの時の事を思い出す。
当然、誰も居なかった。
それだけじゃない。
誰かが住んでるって気配すらなかった。
この家には人が誰も住んでない……。
否応無しにそう感じさせられて、眩暈がする気分だった。

この家、こんなに広かったっけ?
ドラマなんかでよく聞くありがちな台詞だけど、その台詞が私の胸を突いてしまう。
広い……。
本当に広いよ、誰も居ないこの家は……。
誰も存在しないこの世界は……。


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