14:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 19:07:16.46 ID:nNWGVWep0
「やれやれ……」
呟きながら、苦笑した澪が和と視線を合わせる。
和も軽く肩を竦めながら、澪と視線を合わせて微笑んでいた。
二人とも何だか嬉しそうだ。
久し振りに会えた事を喜んでるのは、唯達だけじゃないって事だな。
私達の中で唯の次に和と仲が良いのは澪だろう。
真面目な性格同士で気が合うのか、
傍から見ていても二人はいい親友だと思う。
それがちょっと嫌で澪と喧嘩した事もあったけど、
今は和が澪と仲が良くなってくれた事に私は感謝してるんだ。
「んじゃ、行くか」
私はムギに目配せをしてから、梓達の方に向けて歩き始めた。
「うん」と頷いて、ムギが私の後に続く。その更に後に澪も続いた。
視線を戻すと、既に唯が梓に抱き着いて顔を寄せ、その頭を撫でていた。
暑い上に通りすがりの人も横目に見てるのによくやるよなあ、
とはいつも思うんだけど、唯達にはそんな事なんか関係無いんだろう。
また少しだけ私は周囲を見渡してみる。
見る限り、新入部員らしい子達とさわちゃんの姿は見当たらない。
私達を驚かすためにわざわざ隠れてるって事もないだろうし、
多分、その子達はさわちゃんと一緒に部室で私達を待ってるんだろうな。
どんな子達なんだろう、と私はその子達の姿に思いを馳せる。
何度か梓に写メールで見せてもらった事はある。
眼鏡の子と、何だかムギっぽい子の二人。
梓のメールの文面から性格の想像は出来るけど、それは単なる想像だ。
話に聞くのと実際に会うのとじゃ大違いなんだ。
きっと私の想像とは全然違う一面を持ってたりもするんだろう。
だから、楽しみなんだよな。
私達は唯に抱き着かれる梓に近付いていく。
和と純ちゃんも、少し遅れて梓の傍に辿り着いていた。
久し振りに顔を合わせる八人。
あれから少しは何かが変わったのか、それとも何も変わってないのか。
離れてた時間のギャップは、今から皆で話しながら埋めていけばいいんだ。
そう考えながらもう一歩だけ歩いた私は、
唯に抱き締められる梓の頭に右手を軽く伸ばした。
久し振りに会ったんだ。
頭くらい撫でてやってもいいじゃないか。
そのくらいの軽い気持ちで伸ばした手だった。
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