過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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173:にゃんこ[saga]
2012/02/27(月) 20:09:32.38 ID:gcrOS0dK0
「ああっ!
りっちゃん、大変!」


「ど……、どうしたんだよ?」


「りっちゃん、肘から血が出てるじゃない!
皮まですっごく剥けてるし、早く手当てをしないと……!
私、絆創膏持ってるから、ちょっとだけ待ってて……!」


ムギに言われて思い出した。
ムギに飛び掛かった時、確かに私は肘を擦り剥いてた。
結構、思いっ切り飛び掛かってたからなあ。
下手すりゃ、ムギが地面に頭をぶつけてたかもしれなかったくらいだ。
私が肘を擦り剥いたくらいで助かったよな……。

その怪我だって、別に大した怪我じゃない。
剥けた皮が大袈裟に垂れちゃってはいるけど、
よく見ると見事に表面だけが剥けちゃってるだけみたいだ。
血だってそんなに出てるわけじゃない。
だから、必死に絆創膏を探すムギに、私は不敵な笑顔を向けて言った。
心配する必要なんて無いんだって事を伝えるために。


「大丈夫だよ、ムギ。
そんなに痛いわけじゃないし、唾付けときゃすぐに治るって。
実際に唾を付けた事は無いけどな。
それより、私さ、気付いた事が……」


「駄目だよ!」


突然、私の言葉が今まで聞いた事が無いくらい大きなムギの声に遮られた。
予想外の事態に私は思わず言葉を失う。
強い言葉に驚きながらムギの顔に視線を向けると、
さっきまで以上に泣き出しそうな表情を浮かべてるみたいだった。
その表情のまま、ムギが掠れた声を絞り出す。


「駄目だよ、りっちゃん……。
りっちゃん、今、怪我をしてるんだよ……?
しっかり治療しないと、駄目だよ……。
りっちゃんの言う通り、そんなに痛くない怪我なのかもしれない。

でもね……。
もし悪化しちゃったら……、もし破傷風にでもなったらどうするの……?
破傷風に感染すると……、死んじゃう事だってあるんだよ……?」


「破傷風ってそんな大袈裟な……」


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