過去ログ - 律「閉ざされた世界」
1- 20
220:にゃんこ[saga]
2012/03/10(土) 19:16:09.16 ID:AHpyqVlv0
そこまで考えてたわけじゃないけど、和にそう言われるのはこそばゆかった。
何だか私の考えを全部分かってくれてるみたいだ。
ふと思った。
よく考えれば、私達のバンドに一番長く付き合ってくれてるのは和だ。
それこそ梓より、憂ちゃんよりも深く長く付き合ってくれてる。
ずっと見ていてくれたんだ……。
だから、私達の思い出を大切にしようって思ってくれてるんだ……。

やっぱり、無理矢理だったけど、和にメンバーに入ってもらってよかった。
参加して、感じてもらいたい。
和が支えてくれた私達のバンドがどんなものだったのかって事を。
心の奥底から。

こんな状況にならなきゃ、絶対に組めなかった私達の新ユニットか……。
私と純ちゃんと憂ちゃんと和と梓がバンドを組むなんて、何だか夢みたいだ。
ドリームチームだよな、マジで。
いや、生き物が居ないこの世界に感謝してるってわけでもないけどさ。
でも、まだ練習も何もしてないけど、本当にライブを成功させたいって思う。

不意に、和がペンと紙を机の上に置いた。
何処にあったのかと一瞬思ったけど、
どうやらさっきまで読んでいた地図に挟んでいた物らしい。
さらさらと何かを描いていく。
私は身を乗り出してそれを覗いてみる。
どうやら和は放課後ティータイムのマークと、
車に付けるわかばマークを重ねて描いてるみたいだった。
描き終えてから、和が宣言するみたいに強めに言った。


「皆にばっかり候補を挙げられるのも悪いから発表するわ。
これが私の考えたユニット名よ」


「おー……、ってユニット名?
マーク……じゃなくて?」


「ええ、これがユニット名。どうかしら?」


「どうかしら……って、読み方は?」


「決めてないわ。これがユニット名なのよ」


「何だよ、決めてないって……」


私は肩を落として呟く。
和の言っている事がさっぱり分からない。
記号がバンド名ってバンドもある事はある。
でも、流石にそういうバンドだって、読み方くらいはあるはずだ。
読み方を決めてないって、一体、何だってんだよ……。

憂ちゃんと純ちゃんに視線を向けてみる。
二人とも私と同じに意味が分からないらしく、首を捻っていた。
三人で視線を合わせながら肩をすくめていると、不意に梓が笑顔になって言った。


「ああ、『ジ・アーティスト』のオマージュですね!
和先輩も聴いてらっしゃるんですね、プリンス!
その話を知ってるなんて、和先輩も通ですね!」


「ええ、嗜む程度には聴いているわ。
唯が軽音部に入ってから、少しは洋楽も聴いてみようって思ったのよ。
それと高二の頃、澪が話す話題も洋楽の話題が多かったからかしらね」


プリンス……?
そのまま王子って事じゃないよな……?
洋楽って事は……、ああ、あのプリンスか。
澪の奴、高二の頃、和と何を話してるのかと思ったら、洋楽の話をしてやがったのか……。
それと和には気の毒だが、唯は洋楽聴いてないと思う。絶対聴いてねー。
まあ、和も分かってて、聴いてみてるのかもしれんが……。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
657Res/1034.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice