228:にゃんこ[saga]
2012/03/12(月) 14:14:45.57 ID:1/V17SaX0
「ありがとな、和。
キーボード、引き受けてくれてさ」
少し照れ臭かったけど、それはもう一度和に伝えるべき言葉だった。
正直、和には感謝してもし切れない。
元からドラムスの私はともかく、和の方は完全に素人なんだ。
憂ちゃんの話を聞く限りじゃ、
幼い頃にはピアノが弾けてたみたいだけど、それにしたって相当昔の話だろう。
だから、和には本当に感謝してるんだ。
妙に真剣な視線を向けてしまったせいだろう。
和が小さく微笑んで目を細めた。
目を細めたのは、眼鏡を外してて私の顔がよく見えてなかったからだろう。
「いいのよ、律。
引き受けたのは私なんだし、私だって唯達……、
それに憂達の力になりたいって思ってたのは事実なんだもの。
律にはその機会を与えてもらえて、感謝してるわ。
私一人じゃ、自分が憂達のバンドのメンバーになるなんて事、絶対に思い付けなかったから」
「そりゃ、まあ……、普通は思い付かないよな……」
つい苦笑してしまう。
我ながら無茶な事を言ったもんだ。
しかも、バンドを組むだけなら、実はキーボードは要らなかったんだよな。
梓からのメールに書いてあった事なんだけど、
どうもわかばガールズにはキーボードのパートが居ないらしい。
つまり、わかばガールズの手助けをするってだけなら、本当は私一人で十分だった。
でも、私がパッと浮かぶバンドにはキーボードが居たし、
一度、和と演奏してみたいって気持ちも随分前からあった。
そういや、かなり前、軽音部存亡の危機があった時、
唯が和を軽音部に引き込もうとした事があったよな。
あの時のあれは冗談ではあったけど、
和も軽音部に入ってくれたらな、って私は結構本気で思った。
パートに空きがあるわけじゃない。
でも、和とは一回一緒に演奏してみたかった。
何ならボーカルでもいいから、とにかく参加してほしかったんだ。
私達の楽しい気持ちを、和と共有したかったんだよな。
ボーカルと言えば、
そういや、ほうかごガールズのボーカル、決めてなかったな。
まあ……、多分、梓で大丈夫だろう。
歌はそんなに得意じゃないらしいが、
特訓してるって話を憂ちゃんから聞いた事もある。
何だったらコーラスくらい付き合って……、
いや、考えてみたら、あの曲には私も歌で参加しなきゃいけないのか。
うわっ、今更だと思うけど、何か照れ臭いな……。
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